東京 手みやげ紀行

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東京 手みやげ紀行

明石焼

美味いだしにつけていただく、ふわふわしっとりの玉子焼き。

本場の関西の明石焼を東京に居ながらにして堪能できる「たこ八」。約30年も前から開店して以来、愛されつづけている。お客の8割が常連客というだけあって一度来るとリピーターになるのはうなずけるほどのうまさだ。透明なだしにつけていただく明石焼はあっさりして食べやすい。羅臼の天然昆布を筆頭に5種類以上の素材をブレンドした秘伝のだし。明石焼の中に入っているたこは、焼いても硬くならない味のある新鮮なたこを厳選。特筆すべきは注文と同時に出てくるわけぎと三つ葉と白しょうがの3種の薬味。刻み方や組み合わせはもちろんのこと、だしとの相性が絶妙なハーモニーを醸し出す。オーダーをとってから焼き始める明石焼(一人前8個入り)は中がとろとろの熱々、密にぷりんとしている。だしにつけるとふわっと広がる様がうれしい。お持ち帰りも可能。だしを入れた器に明石焼をレンジで温めれば再び楽しめる。

大学いも
店舗名 たこ八
住所 〒110-0005 東京都台東区上野3-29-5
松坂屋上野店南館地下2階
電話 03-3832-1111
営業時間 10:00〜20:00(LO19:30)
価格 明石焼おみやげ(2人前)1,155円
日持ちは当日限り。

海鮮恵方巻

厳選された海の幸をふんだんに使用した自慢の逸品。

立春の前日である節分の日に恵方を向いて太巻きを丸かじりすると縁起をかつぐといわれる恵方巻。もともとは関西の習慣だったが、今では関東でもすっかり定着してきたうれしい食習慣だ。カウンターに座ってお好みでたしなむ江戸前寿しの名店「寿し常」は、新鮮なネタと職人技による本格江戸前寿しを気軽に安心して楽しむ店として知られる。そんな「寿し常」自慢の逸品である「海鮮恵方巻」は、厳選した海の幸をふんだんに使用した人気商品だ。自家製の醤油漬いくらや煮穴子、子持ち昆布、蒸しエビ、だし自慢の玉子焼きを含む計9種類という豪華な具材のハーモニー。寿司店ならではの具材の新鮮さと自家製の味が生きている。期間限定(2011年1月29日〜2月3日)のとっておきの商品のため、この機会をお見逃しなく。

海鮮恵方巻
店舗名 寿し常
住所 〒170-0004 東京都豊島区北大塚2-6-10
電話 03-3917-6079
価格 海鮮恵方巻:1本 1800円(予定)
http://www.sushitsune.co.jp/

大学いも

いも独自の甘みと揚げ立ての香ばしさ。

江戸時代、川越藩主の松平伊豆守信綱は新河岸川〜隅田川を改修し、川越〜浅草間の舟運を始めた。川越の芋作り農家だった創業者・斉藤小平次は明治初年にこの舟運を利用し、浅草駒形の河岸に芋問屋・川小商店を開業。サツマイモ一筋130年の川小商店小売部だった。「おいもやさん興伸」は全国各地の契約栽培による高品質の原料芋から四季折々の一番おいしい品種を選び、その特性を生かした商品づくりに余念が無い。頑なに守り続ける下町浅草の味として知られる「大学いも」もそのひとつ。旬のサツマイモを揚げた香ばしさが口中に広がり、家伝のミツが「大学いも」に備わっている自然の甘みを一層引き出す。サツマイモは体内の塩分を調節するカリウムを多量に含む典型的なアルカリ食品でしかもカルシウム、鉄などのミネラル類も豊富に含む健康食材なのもうれしい。

大学いも
店舗名 おいもやさん 興伸
住所 〒111-0043 東京都台東区駒形2-1-26
電話 03-3842-8522
営業時間 9:00〜17:00
価格 大学いも:100g189円〜

しづくあん

一滴のしずくに見立てたこしあんと生地種の調和。

日暮しの里・呉竹の根岸の里といえば、江戸の昔より、音無川の清流に沿った塵外の小天地として知られる。文政2年、初代庄五郎が、ここ音無川のほとり芋坂の現在地に開業し、この団子が「きめが細かく羽二重のようだ」と賞され商号となる。「行きませう。上野にしますか。芋坂へ行って團子を食いましょうか。」(初出『ホトトギス』連載 明治38年1月)と、夏目漱石の『吾輩は猫である』にも出てくる老舗だ。光沢と粘りとシコシコした歯ざわりが身上の名店「羽二重団子」のもうひとつの銘菓が「しづくあん」。一滴のしずくに似せた上品なかたち。こしあんの美しい色を眺めているだけでも一興だ。
羽二重団子独特のこしあんと生地種とを特別に調整した和菓子。羽二重のごとき小豆の風味とうるち米との調和が口の中に広がるうれしさがある。日持ちは当日限り。

しづくあん
店舗名 羽二重団子
住所 〒116-0014 東京都荒川区東西日暮里5-54-3
電話 03-3891-2924
営業時間 9:00〜17:00
定休日 無休
価格 しづくあん:12個入り745円

トマトチーズ

トマトの酸味とチーズのコク、新食感が癖になる。

世界に名高い絵師・葛飾北斎の生誕地でもある両国は、国技館・江戸東京博物館を控えた江戸の薫りを残す町。そんな中にあって明治43年創業の『東(あずま)あられ』は今年100周年を迎えるが、老舗の誇りである手造りの技を大切に生かしながら時代の空気を一早く読み取り、斬新な新商品の開発に余念がない。4年前に現社長が開発した『トマトチーズ』もその一つで、ピュアトマトの酸味とチーズの旨味、サクッとした新食感が絶妙。「まるでイタリタンを食しているよう」「あられの世界観を覆した」と舌の肥えたグルメの間で評判となり、口コミやブログで人気はウナギ上り。その秘密は原材料の吟味と焼き方にあった。通常あられは、もち米だが、『トマトチーズ』はうるち米を使用。外味のトマトとチーズも本物をパウダー状にして用い、厚い鉄板に挟んで焼くことでサクッとした新食感を実現させた。贈答用はもちろん、お取り寄せができるのもうれしい。
【文・佐藤桂子】

トマトチーズ
店舗名 東あられ本鋪
住所 〒130-0014 東京都墨田区亀沢2-15-10(両国本店)
ほか菊川駅前店、八千代工場直売店、LIVIN錦糸町店がある。
通信販売はフリーダイヤル0120-082-129(月〜金9:00〜17:00)
電話 03-3624-9733
営業時間 9:00〜19:00
定休日 無休
価格 トマトチーズ: 50g入り200円、80g入り300円(各税抜)。

かりんとう

飽きが来ない上品な甘さとサクッとした歯応えが評判。

観光客の喧騒を逃れて歩くこと15分。ここが同じ浅草かと思うほど静かな所に、かりんと うの専門店『小桜』はある。もともとは明治3年創業の老舗料亭『福し満』の6代目女将が、昭和29年から顧客に帰りぎわ手みやげとして渡していたものだったが、評判を呼んで 売ってほしいとの声が殺到したため、平成元年に料亭の隣に店を構え、店名は松竹歌 劇団のダンサーだった娘の芸名・小桜芳子から取った。作り置きはせず、手間ひま掛け て作られている。最も人気が高いのは竹久夢二が描いた女性を髣ほうふつ髴とさせる華奢な『ゆ めじ』で、ごま、青海苔、パプリカで色づけされている。そのほか黒糖の『ふるさと』、白砂 糖を使った『おもいで』、メープルの『かえで』、『きなこ』に、桜の花びらの塩漬けを刻ん で入れた絶妙な味わいの『さくら』が加わり、紺地に桜の花びらを散らした小粋な包装紙 と相まって進物用に喜ばれそうだ。
【文・佐藤桂子】

かりんとう
店舗名 小桜
住所 〒111-0032 東京都台東区浅草4-14-10
電話 03-5603-5390
営業時間 月〜土 10:00〜17:30
定休日 日曜
価格 かりんとう:写真奥から時計回りに、ゆめじ、ふるさと、かえで、きなこ、さくら、おもいで。
巾着袋(ゆめじ)420円。箱または化粧缶入り詰め合わせ735〜3,360円

桔梗(ききょう)

モチっとした食感のあとに黒餡風味がふわっと広がる。

東京メトロ千代田線・赤坂駅2番出口から徒歩2分。赤坂田町通り沿いにある 御菓子司『塩野』は昭和22年の創業だ。自宅を改装して店と作業場にした先代は、四 季折々の花鳥風月を愛でる日本人の心に響く菓子づくりに精魂を傾けた。その思いを大切 に、自らが理想とする味を追い求め改良を加えている現在の2代目。季節の訪れをいち はやく告げる生菓子・半生菓子・干菓子は上品な色合いと洗練された形、人を幸せにす るほのかな甘みが楽しめる。そんななか8月中旬から9月中旬までひときわ目を引くの が、中秋の名月に床の間などに生けられる秋の七草の一つ「桔梗」だ。キメの細かい米 粉と小麦粉でモチっとした食感を出したういろうは、食用色素で優美な薄紫に 染められ、黒砂糖とざらめをミックスした極上の大島餡の風味が口中に広がる。2、3日 は日持ちするので、ひと足先に初秋の気分を手みやげとして届けると喜ばれそうだ。
【文・佐藤桂子】

桔梗(ききょう)
店舗名 塩野
住所 〒107-0052 東京都港区赤坂2-13-2
電話 03-3582-1881
営業時間 月〜金 9:00〜19:00 土曜・祝日 9:00〜17:00
定休日 日曜日
価格 1個 320円。
進物用は6個入り2150円。24個入りまである。

江の嶋最中

パリッと厚めの焦がし皮と5種の餡の一体感を楽しむ。

明治18年創業の『芝神明 榮太樓』がハマグリ・カキ・アワビ・ホタテ・アカガイをかたどった5つの焦がし皮に、ゆず餡・白餡・つぶ餡、こし餡・ごま餡を入れたひと口サイズの最中「江の嶋」を作ったのは明治35年。一世を風靡した『金色夜叉』の挿絵画家・武内桂舟が親戚筋なのと、作者・尾崎紅葉が幼い頃に神明町で育ったことから、店が紅葉に名づけを依頼。夫人が嗜んでいた琴唄「江の嶋」から想を得た模様で、明治35年2月23日の紅葉日記にも出てくる。ちなみに箱に掛ける掛け紙にしたためられた「江の嶋」も紅葉の直筆だ。こし餡・白餡の小豆は北海道産、つぶ餡は皮が薄く大粒で小豆本来の風味がある能登産の大納言を使用。ごまやゆずも産地にこだわり、添加物はいっさい使わず、直火でていねいに炊き上げている。また現在の4代目になってから餡が空気に触れて硬くなるのを防ぐため個包装にしたので、封を開けると香ばしい香りがすると好評だ。
【文・佐藤桂子】

江の嶋最中
店舗名 芝神明 榮太樓
住所 〒105-0012 東京都港区芝大門1-4-14
電話 03-3431-2211
営業時間 月〜金 9:00〜19:00 / 土 9:00〜14:00
定休日 日曜・祝日
価格 江の嶋最中1個88円。
箱入り5個483円、箱入り10個1,050円〜

瑞雲(ずいうん)

ほろりとした口どけが幸せを運ぶ黄身しぐれ。

地下鉄・表参道の駅からすぐの骨董通りは、古美術品や有名ブランドの店が軒を連ね、 そぞろ歩くのが楽しい大人の散歩道として知られている。和菓子に魅了されている人な ら知らない人はいない昭和10年創業の「菊家」も、この通りの中ほどにある。
一子相伝の味を貫き、現在は2代目が中心となって、素材を生かした真っすぐな味を 守っている茶菓子の老舗だ。そよ吹く風に柳が揺れる風情あふれる表戸を入ると、季 節の移ろいを表現した上生菓子が目を引くが、一番の人気商品は卵黄をたっぷり使っ た「瑞雲」。「瑞」は吉兆を表し、菊の模様が描かれた包み紙と相まってお祝い事に最 適だ。他店と違って餡を入れず、ふんわりとやわらかく、ほろりとした口どけ感が身上の 黄身しぐれは、機械や型をいっさい使わず、すべて丹精こめた手作りで、一つとして同 じ形がなく、今にも壊れそうなはかなげな雰囲気が茶人たちの心をつかんで離さない。
【文・佐藤桂子】

瑞雲
店舗名 菓匠 菊家
住所 〒107-0062 東京都港区南青山5-13-2
電話 03-3400-3856
営業時間 月〜金 9:30〜17:00 (土は15時まで)
定休日 日曜・祝日
価格 1個 330円。
http://www.wagashi-kikuya.com/

野菜菓子

かむほどに素材の風味が広がる砂糖漬。

江戸時代は『豆腐百珍』『甘藷(いも)百珍』などの料理本が多数出回っていたが、店と品物を紹介する『江戸買物獨案内(えどかいものひとりあんない)』なる情報誌も存在。ここで紹介されている「砂糖漬」が今でいう野菜菓子で、滋養に良いことから薬のように珍重されていた。残念ながら手間があまりにも掛かるため、現在、東京で手掛けているのは梅鉢屋のみ。工程は青果市場や契約農家から仕入れた大根・人参・ナス・ゴボウ・ショウガ・栗・シイタケなどを切ってゆで、香りが移らないよう糖蜜で個別に煮る。そのため素材によっては仕上がるまで1週間は要す。砂糖は塩と同じで雑菌を寄せ付けないので日保ちが比較的良く、親しい方への手土産に最適だ。またお茶はもちろんのこと、ウイスキーやワイン、焼酎とも相性がいい。店には落ち着いた雰囲気の喫茶コーナーがあり、お茶を頼むと野菜菓子も賞味できる。
【文・佐藤桂子】

野菜菓子
店舗名 梅鉢屋
住所 〒131-0041 東京都墨田区八広2-37-8
電話 03-3617-2373
営業時間 9:00〜18:00
定休日 日曜・祝日
価格 詰め合わせは735円〜。 http://umebachiya.com/

揚最中

サクッとした食感と、塩・餡・ごま油の絶妙なハーモニー。

JR山手線・駒込駅東口から1分程の御菓子司「中里」では、従来の最中のイメージを大きく変える〈揚最中〉に出合える。満月状にした最中の皮に衣をつけ、極上のごま油で揚げて、北海道産の良質な小豆と砂糖・水飴で作った粒餡をはさんだものだ。皮の表面に振られた伊豆大島の塩のうま味、芳しいごま油の香りとコク、餡が絶妙に響き合って、一度食べると病みつきになってしまうほどのうまさだ。サイズも直径6cmくらいと、大きからず小さからずで食べやすい。この変わり種の最中の原形を考案したのは2代目の祖父だが、改良に改良を重ね現在の形になった。時間が経つと皮が多少しけてくるが、オーブントースターやフライパンであぶると元のサクッとした食感に戻る。手土産にするなら前日に予約しておいたほうが賢明だ。常温で3日もつのもうれしい。
【文・佐藤桂子】

揚最中
店舗名 中里
住所 〒114-0015 東京都北区中里1-6-11
電話 03-3823-2571
営業時間 9:00〜18:00(土・祝日は16時まで)
定休日 日曜日
価格 揚最中:1個税込みで180円

くずざくら

涼しげで上品な甘味が暑気を和らげてくれる。

お茶席に招かれると、茶器を愛でる喜びもあるが、それ以上に楽しみなのは供されるお茶菓子ではないだろうか?「荒川区役所前」バス停のそばにある和菓子店「松月堂」は、そんな茶道をたしなむ人たちにこよなく愛されている。荒川区では一流の腕を持つ職人をマイスターと認定し、たたえているが、3代目もその一人で、現在の4代目にも季節感を巧みに表現する高い技術は受け継がれている。四季を大切にする「松月堂」の「くずざくら」は、この時季、見た目も涼しげで、上品な甘味が暑気あたりを和らげてくれる。外側は最上級の本場吉野くずを使い、これを30年前から導入しているアルカリイオン水で溶き、良質の砂糖を加え、透明感のある甘さを引き出す。中の餡は妙な渋みを残さず、口どけ感となめらかさを追求すると、北海道産の小豆に落ち着いた。また、くるんである桜の鮮やかな緑の葉は本物で、伊豆で特別栽培されているものを使用。「くずざくら」は6月初めから8月末まで味わえる。
【文・佐藤桂子】

くずざくら
店舗名 松月堂
住所 〒116-0002 東京都荒川区荒川2-3-4
電話 03-3891-5557
営業時間 8:30〜20:30 (日曜日は17時か18時まで)
定休日 なし
価格 くずざくら:1個税込みで145円

たいやき

じっくり練られた上質の餡と薄くパリッと焼いた皮が身上。

特に冬になると店の前に長い行列ができるという「根津のたいやき」。カーター政権時代に副大統領を務め、約10年前には駐日アメリカ大使として手腕を発揮したモンデール氏も列に並んだというくらい、味に定評がある。先代がこの千代田線・根津駅から5分の地に開業したのは昭和32年。東京4大たい焼きの一つ、人形町の柳屋高級鯛焼本舗の支店としてであった。その後独立して素材にこだわり、手間を惜しまず手作りに徹した実直な味が口コミで全国にファンを増やしていったようだ。先代亡き後は現在の2代目が兄とともに朝5時から餡(あん)の仕込みに精を出す。材料には十勝産の特選小豆を使用。これに良質の砂糖を加えてじっくりと煮て練り上げる。しっとりしたほどよい甘さの餡に加え、薄くパリッと焼いた香ばしい皮が身上だが、秘伝の生地と先代から受け継がれた手入れの行き届いた型、気象条件を考慮した絶妙の焼き方による。やっぱり一番おいしいのは焼きたてだが、冷めても本来の風味が損なわれることはない。仕込んだ餡がなくなった時点で閉店なので気をつけよう。
【文・佐藤桂子】

たいやき
店舗名 根津のたいやき
住所 〒113-0031 東京都文京区根津1-23-9-104
電話 03-3823-6277
営業時間 10:30〜売り切れ次第終了
定休日 不定休
価格 1個140円。進物用の箱代は4〜6個用の小80円から中・大とある。

芋ようかん

季節限定の素朴な味に心もほっこり。

JR田端駅北口に出て歩くこと7分。谷中七福神として知られる東覚寺の脇にある土佐屋には、昔懐かしい自然そのままの味を生かした手作りの商品が並ぶ。創業は大正12年で現在の当主は3代目。あんこ玉やあんみつ、夏限定の水ようかんも人気が高いが、一度食べると病みつきになる旨みがぎっしり詰まった芋ようかんは冬季限定で、いつでも手に入るものではないこともあって、長く人々に愛されている。原料はサツマイモの本場・鹿児島産をメインに、季節に応じて千葉や茨城の厳選された上質の芋を使用。まずは1本1本ていねいに手で皮をむき、次に色味を冴えさせるため、ひと晩水につけてアクを抜き、明くる朝ふかして裏ごしをし、自然な甘みを引き出すため少量の砂糖を加えて四角い形に整える。1本でだいたい3人前。口に入れるとほっこりした芋本来の素朴で控えめな甘さが広がる。ただし保存料はおろか寒天などの添加物も一切使用していないので地方発送はない。できればその日のうちに食べるのがベストのようだ。
【文・佐藤桂子】

芋ようかん
店舗名 土佐屋
住所 〒114-0014 東京都北区田端2-9-1
電話 03-3821-4913
営業時間 9:30〜19:00
定休日 日曜日
価格 1本210円

甘食

明治以来のほど良い甘さと、バターの香りと口どけ感が魅力。

その昔はおやつの定番で、滋養と消化がいいことから離乳食や病みあがりの人の口慰みとしても重宝がられていた甘食。あの頭のてっぺんが十文字に割れた円錐形を見るだけでえもいわれぬ懐かしさがこみ上げるという人も多いだろう。とりわけ本郷三丁目の交差点近くにある「明月堂」の甘食は天下一品で、横浜はおろか大阪から買いに来るなじみ客もいるという。明月堂は明治25年創業の老舗パン屋だが、初代が甘食づくりを手がけたのは3年ほどたった頃。発明したのは港区のパン屋だが、添加物を一切加えない吟味された材料と、精魂込めた手法で、たちまち明月堂の人気商品に! 材料は小麦粉、バター、卵、砂糖、少量のふくらし粉のみ。これを直径80cmの巨大なすり鉢に入れ、すりこ木で400〜500回かき混ぜる。こうすることで空気が適度に入り、ふんわり焼き上がって、なめらかな食感が楽しめるとか。戦後から使用している包装紙も人気が高い。冷めてもおいしいが焼き立てが欲しい人は10時、13時、夕方に訪れるといい。
【文・佐藤桂子】

甘食
店舗名 明月堂
住所 〒113-0033 東京都文京区本郷4-37-14
電話 03-3811-5539
営業時間 8:00〜19:30
定休日 日曜・祝日(土曜は不定休)
価格 2個ひと組で147円(税込み)

ところてん

なめらかな喉ごしと、磯の香りが漂う涼を味わう。

映画「男はつらいよ」の舞台として知られる葛飾柴又。帝釈天方向へ歩いて1分。参拝へ向かう人々の足が思わずとまる、にぎやかな店構えの「かなん亭」は、どの品も素材を吟味し、添加物を加えずに手作りしている。なかでも特に評判が高いのは良質の天草を煮出した寒天だ。うっすらと黄金色で、ほのかに磯の香りのする、こしのある寒天は、無味無色という先入観を覆す。寒天の原料である天草は伊豆七島、伊豆稲取産を使用。広島尾道の酢を使った酢醤油でさっぱりといただく。こしのある美味しい寒天が出来上がるのには秘密がある。先代が長野県の農学博士、松橋鉄治朗氏と出会い伝授された「中和法」という独自の製法を2代目当主が受け継ぎ、今も根気のいる作業を続けている。夏の暑さで食欲がないときでもつるりと喉ごしの良いところてんは、涼を感じるうれしい手みやげだ。宅配便による地方発送も可能(送料別途)。 
【文・関本叔子】

ところてん
店舗名 かなん亭
住所 東京都葛飾区柴又7-1-4
電話 03-3672-7386
営業時間 11:00〜21:00
定休日 水曜日
価格 おみやげ用ところてん 300円(店内では470円)

太郎梅

さわやかな梅の香を生かした上質な甘さが口福をもたらす。

茶道楽は茶葉だけでなく、お茶請けにもなかなかうるさいもの。そんな粋人の舌をもうならせる名品が人形町・甘酒横丁にある。懐石料理の店「凡味」の「太郎梅」だ。もともとは懐石料理として江戸時代から伝わる品を再現したものだが、「凡味」では紀州の大ぶりの梅をいったん梅干しにして、それから塩気と酸味を抜き、さらに煮崩れないよう気をつけながら砂糖蜜でうす甘く煮含めるという。手間暇がかけられているだけに、歌舞伎俳優にもファンが多く、さわやかな梅の香を生かした上質の甘さが口福をもたらす。また天井は網代、床は籐が敷いてあるなど、かつて呉服問屋だった店の造作をあまり変えずに残してあるので、何ともいえない風情があり、江戸情緒を求めてわざわざ遠方から来る人も多い。手みやげ用の折り詰めを買ったついでに、10席の小上がりの座敷でおいしいお茶と一緒に賞味することもできる(700円)。持ち帰りに関しては数量に限りがあるため、前もって電話予約しておいたほうが確実だ。
【文・佐藤桂子】

太郎梅
店舗名 凡味
住所 東京都中央区日本橋人形町2-32-3
電話 03-3669-4671
営業時間 11:00〜20:00
定休日 日曜日・祝日
価格 太郎梅(手みやげ用折り詰めは3個入り1,575円)

千石万頭

上品な味わいと芳ばしい玄米の香りを楽しむ

都営三田線の千石駅から徒歩5分。白山通りをちょっと入った本町通り商店街に店を構える『田月堂』は、昭和22年創業の老舗だが、女優・大原麗子の実家でもある。風情ある店名は、初代にあたる亡父が故郷・長野の姥捨山(ルビ うばすてやま)の傾斜地に並ぶ棚田(たなだ)に映る美しい月を懐かしんで名付けたとか。そんな田月堂で長年愛されているのが、地元・千石の名を冠した(千石万頭(せんごくまんじゅう))。一つ一つていねいに和紙でくるまれ、一口サイズで食べやすい。一般的には上用粉と大和芋で作られた白い皮と、それに玄米粉を入れた薄茶の皮の2種類で、あんはどちらも北海道十勝産の小豆を使用。白いほうにはこしあん、薄茶のほうにはつぶしあんが入っていて、白いほうは上品な味わいが身上。薄茶のほうは玄米の芳ばしい香りが楽しめる。法事用としても人気が高いが、お祝い事の場合は玄米粉の代わりに植物で作った紅で紅白まんじゅうにしてもらうことも可能。12個入りでも1,010円と手ごろな値段で、5日間は風味を損なわず美味しさを保てるので進物用に最適だ。
【文・佐藤桂子】

千石万頭
店舗名 田月堂
住所 東京都文京区千石4-39-7
電話 03-3941-1240
営業時間 9:00〜18:30
定休日 月曜日
価格 千石万頭(消費税込みで一つ80円)

志"満ん草餅

かみしめると口いっぱいによもぎの香りが広がります。

東武伊勢崎線の曳舟駅から歩いて12分。墨提通りに面した「志゛満ん草餅」は明治2年、当時大川と呼ばれた隅田川を渡し舟で行き来する客に、土手で摘んだよもぎの草餅と茶を供したのが始まりだ。変わった屋号は、つねに素材を吟味し、どこに出しても恥ずかしくない本物の草餅を作る<志>を込めて命名されたとか。草餅はスタンダードな「こしあん入り(奥)」と、えくぼに蜜と、きな粉を好みでかけて味わう「あんなし」の2種類。どちらも「口いっぱいによもぎの芳香が広がる」と人気が高い。もちろん香料・着色料は一切加えない、素朴な自然の味わいが信条だ。仕込みは毎朝5時から。「天気や気温で蒸し時間が微妙に変化するので気を抜けない」と4代目当主。生のよもぎを使用するため、青森・福島・千葉・大島・九州と季節によって取り寄せ先が異なり、色も味も香りも大きく違う。ちなみに春は青森産を使用。きれいな若葉色で、優しい香りと味わいが特徴だ。こしあんは北海道十勝産の小豆を使い、上新粉は独自の配合でコシの強さに定評がある。
【文・佐藤桂子】

志満ん草餅
店舗名 志゛満ん草餅
住所 東京都墨田区堤通り1-5-9
電話 03-3611-6831
営業時間 9:00〜17:00
定休日 水曜日(祝日は営業)
価格 草餅(こしあん入り・こしあんなしどちらも一つ135円)、昔懐かしい経木包みは4個から。

八雲もち

はかない食感と、意外なコクの組み合わせが新鮮。

東急東横線・都立大学駅前にある和菓子屋「ちもと」の『八雲もち』は、知る人ぞ知る手土産の定番だ。店に足を踏み入れると、大通りに面しているとは思えない箱庭のような空間が待っている。ここでは日中、人波が途切れることはない。客の大半のお目当ては『八雲もち』である。併設された喫茶店で、抹茶あるいは煎茶と一緒に楽しむこともできる。竹皮の包みを解くとまず、綿のようにふんわりした求肥に驚く。口にすると、ほろり、とろりと舌の上で溶けていく。粒で加えたカシューナッツと、黒砂糖のコクが極上のアクセント。和菓子を好む人なら、一度はやみつきになること請け合いだ。求肥の柔らかさの秘密は、卵白泡立てて、寒天、上白糖を加えて煮た『淡雪』にある。これを、黒砂糖と上白糖、カシューナッツを混ぜた求肥に加えて固めるのだ。この『八雲もち』、日に1000個売れる看板商品だが、ひとつひとつカットして竹の皮で包むまでの全工程が、手作業で行われている。贈答には、これも定番のこしあん(もなか)、または煎茶と詰め合わせになったセットがおすすめ。パッケージも洒落ていて、竹籠、一閑張が用意されている。賞味期限が5日と比較的長く楽しめるから、遠方へのお使い物にもぴったりだ。
【文・佐藤桂子】

八雲もち
店舗名 ちもと
住所 東京都目黒区八雲1-4-6
電話 03-3718-4643
営業時間 10:00〜19:00(喫茶店は18:30ラストオーダー)
定休日 木曜日
価格 八雲もち(ひとつ158円)